ベラ・バレニー =メルセデスの技術者
ベラ・ヴィクトル・カール・バレニー(1907年3月1日 - 1997年5月20日)はオーストリア=ハンガリー帝国出身の自動車技術者。
メルセデス・ベンツに34年間在籍し、その間に2500件に及ぶ特許を取得しました。なおかつ、「エンジンよりも先に人間を」の基本的考えにより、特許は無償公開しています。
バレニーの功績の一つが、今日ではすべての自動車に適用されている衝撃吸収車体構造です。これは、衝突する車体前後は潰れやすくすることで衝撃を吸収し、客室部分は堅牢な構造として人命を守る考えに基づいた車体設計です。当時は「車体を潰れやすく作るなんてどうかしてるんじゃないか」と言われたそう。そんな時代に先駆けとなるのはさすがです。
この設計を用いたメルセデス・ベンツ180は、1953年に発表されていますが、トヨペットクラウンが誕生したのは、その2年後の1955年のこと。自社開発にこだわったトヨタがようやくクラウンを発売したとき、メルセデス・ベンツは衝突事故を視野に入れた乗用車を実現していました。現在はより小さな車と衝突したときには相手の分の衝撃も負担するところまで来ています。
先駆けて開発するパイオニアって大変です。ライト兄弟が初めて有人動力飛行機を開発したのは誰でも知っていますが、当時は科学者を筆頭に、「如何なるメカニズムを組み合わせても、空を飛ぶ機械は実現不可能」、と断言され、実験が成功した後も「そりゃ少しは飛ぶかもしれないが、実用として人の役には立たない」とさらに言われました。
しかしそこから人類は100年かからないで月まで到達しています。
考えてみたら、ベンツとダイムラーが開発したガソリンエンジンというものが無かったら、ライト兄弟の飛行機は成り立ちませんでした。
閑話休題、メルセデスベンツは、現在も安全性を追求、日夜努力しています。